断熱のすすめ/例えば寒い冬、いくら暖房をかけても底冷えがする。その原因は壁や床の温度にあります。
家を建てるとき、温度について考えて下さい。
キッチン・お風呂・収納… 家を建てるとき、こだわりたい点は尽きないものですが、もうひとつ、ちゃんと考えて欲しいこと。それは「家の温度」についてです。
例えば、真夏の屋根。その表面温度は80℃を越えることもあります。断熱がしっかりしていないと、家の温度は外気温に大きく影響されます。冷暖房をかけていても、家の中での温度差に悩まされます。
そう! 家を建てるときに選ぶ断熱方法で、これからの家の温度が決まるのです。
「暑さ寒さも日本のいいところだ」なんて思っている今はピンとこないでしょう。でも想像してください。将来子どもができたとき、新しい家族を迎え入れるとき、あなた自身年老いたとき。その家の温度は大丈夫ですか? 子どもやお年寄りにとって、温度が身体に与える負担は小さくありません。
断熱が不十分だと、“温度差のストレス”によって、健康に少なからず影響を与える恐れがあるのです。
だから真剣に考えてほしい… 家の温度!!
家の中の温度差は危険です。
人の体は、暖かいところから急に温度の低いところに行くと、血管が収縮し血圧が上昇します。高血圧の人や高齢者にとっては体への負担がとても大きく、脳卒中や心筋梗塞の誘因となってしまいます。これがいわゆる“ヒートショック”。断熱レベルが低い家では、冬の早朝や夜間、トイレや浴室などが冷えきっており、暖かい部屋から急に移動したときに、ヒートショックが起こる危険が高まります。近年住まいのバリアフリーが普及していますが、もっとも大事なのは家の中での温度差をなくす「温度のバリアフリー」です。
断熱の違いで大きく変わる、家の冷暖房コスト。
断熱をしっかりした家と不十分な家では、冷暖房コストにも違いが出ます。下のグラフは、東京・大阪、仙台、札幌の各地域で、住宅の省エネルギー等級による冷暖房コストの違いを表したものです。札幌では、一年だけでも約11万円の差がでます。しっかり断熱をすれば冷暖房コストも抑えられます。
(財)建築環境・省エネルギー機構「住宅事業建築主基準の判断基準ガイドブック」に掲載の一次エネルギー消費量(暖房・冷房設備)より算出。条件=木造2階建て(120.07m2)。1kWh=22円86銭として算出。25年間、断熱性能及び設備機器の変更がないと仮定。
- ※1 I地域とIV地域をそれぞれ、Ia、Ib、IVa、IVbと細区分した住宅事業建築主判断基準の地域区分を適用。
- ※2 居住者が在室している部屋及びその時間のみ暖冷房運転。
参考:地域の気象条件に合わせた断熱対策。「次世代省エネ基準」がこれからのスタンダード。
1999年に制定された「次世代省エネ基準」により、日本の断熱基準が国際レベルになりました。この基準は省エネ性を追求する一方で、地球温暖化防止に貢献する住宅づくりを支援しています。
「次世代省エネ基準」には、全国を気候条件に応じて市町村ごとにI~VIの地域に分けて基準値が示されています。これまでの県ごとの地域分けに比べ、より気象条件に応じた住まいづくりが求められるようになりました。また建物のすき間から逃げる熱を抑えるため、建物の気密性の基準が初めて全国的に導入されました。その他夏の遮熱対策として、直射日光の進入を防ぐための基準値や、高断熱住宅を快適に過ごすために換気や暖冷房に関する注意事項が示されています。
- Q値(熱損失係数)とは
- Q値とは、室内外の温度差が1℃あるときに建物全体から1時間当たり逃げ出す熱量(熱損失)を床面積で割った数値です。単位はW/m2・Kです。この値が小さい程、熱が逃げにくく、断熱性(保温性)の高い住宅といえます。
- C値(相当隙間面積)とは
- C値とは、その建物にどの程度隙間があるか(気密であるか)を示す数値です。建物内外の圧力差が9.8Pa(9.8Pa=1mmH2O)の時に住宅を通過する風の量から総隙間面積を求め、その値を建物の床面積で割った数値です。単位はcm2/m2です。この値が小さい程高い気密性能があることを示しています。